詳細地図で歩きたい町 京都2020 (JTBのMOOK)

工夫された掲載方法が本書のポイントでしょう。22ページ掲載の1つ目のコース「清水寺・高台寺」から本書の個性と工夫が感じられます。見開きのページを全て使用して、A3の縦型として地図を掲載していました。情報もそのスタイルに合わせて配置を変更しており、利用者の利便性に配慮しているのが見て取れます。通常、北を上に置くと、東山一帯のように山裾に社寺が広がるエリアはどうしても散策が南北移動になるため、誌面の効率と使い勝手を考えるとこのスタイルが生まれたのだと理解しました。正確で見やすい地図、そしてよく考えられたコース設定が本書のポイントだと思いました。京都市内や郊外の名所旧跡など、たどるモデルとして37のコースが掲載してありました。これだけ様々なコースを推奨してあれば、どれかを選べば上手くたどれるわけで、親切な編集でした。別掲として、京都市街図とバス路線図が裏表で印刷してありますので、全体の位置確認や交通経路をする際に便利でしょう。切り取って街歩きの際に持参しています。コース11には「壬生寺・武信稲荷」に歩くコースが地図上に明記されています。推奨コースは赤い点線と黄色のマーカーで掲載してありました。所要時間、歩行時間、歩数、見学拝観料、交通費などが示されてあり、詳細な案内がありました。コース設定も上手く作られていますし、無理もありません。これに沿って行けば間違いなく素敵な散策路となることでしょう。コース6として「東寺・島原・京都鉄道博物館」のルートの紹介は京都らしさと新しさが同居したコースでした。よく検討された設定コースだと思います。気ままに適当に散策すれば良いわけですが、滞在時間が限られている観光客にとって、効率の良い歩き方は大切かも知れません。推奨されたコースは無理もなく、確かにこのように歩けば、京都の素敵な場所を訪れることが可能だという基本ルートになっていると言えるでしょう。細かく見ると、結構ジグザグに歩くように指示されている箇所もありますが、なるほどと思える推奨の仕方でした。観光客はあまり来ないという穴場にも辿りつけるという工夫がされていました。目的地まで直進するだけの散歩とは一味違った体験が出来そうです。散歩コースのそれぞれの観光場所から次の場所までの目安の時間と距離もありました。近くの別のコースも記載してありますから、自由にルートはアレンジできます。主に立ちよりたい見どころやショップ、休憩のための喫茶店、食事処もあり、ガイドブック的な役割も期待できるでしょう。拝観場所の住所、電話、拝観時間、定休日、拝観料、所要時間なども記してありますので、不案内の方には至れり尽くせりの内容だと思いました。