数学放浪記

読み始めたら余りに面白くて、途中で興奮を冷ますために意識的にとった中断時間を除いては、一気に読んでしまいました。著者の家族の実体験に基づくユダヤ人としての、そしてハンガリー人としての暗い体験も書かれているものの、それを凌ぐ著者の数学者として、人間としての活動がとても生き生きと書かれています。恋愛や数学に彩られた著者の青春時代から数学者として活躍する今日までの様子が、数々の数学者、友人、ガールフレンド等との交流の話を織り込みながら語られています。本当に優秀な数学者というのはこんなに自由な精神を持った人間なんだということに気が付かされると同時に、なんだか自分にも元気がわいてくるような気にさせられる本です。ファインマンの有名な自伝とともに科学者の自伝のなかでも普通の人が読んでも特別に面白い本だと思います。