電子ブック柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)無料ダウンロード

柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)

, 吉本 隆明

によって 吉本 隆明
4.2 5つ星のうち 2 人の読者
ファイルサイズ : 25.11 MB
内容(「BOOK」データベースより) 体液のように流れる柳田の文体と方法にかたちをあたえ、彼のえがいた稲の人としての「日本人」の鮮明な画像と,そこに見えかくれする「山人」や「アイヌ」の影に徹底した考察を加える「柳田国男論」。丸山の戦争体験の批判を入口に、『日本政治思想史研究』における徂徠学の評価の分析を軸にすえ、丸山政治学が幻想の「西欧」という虚構の立場を設定して初めて切り拓いた地平を検証する「丸山真男論」。近現代の代表的な思想家を俎上にのせ、雄勁なスケールでその核心を論じる。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 吉本/隆明 1924年東京生れ。1947年東京工業大学理学系化学科卒業。詩人、評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
以下は、柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
「スターリ二ズム―ファシズム―官僚主義の円環/循環構造」ということが語られている。つまり国家という枠組みがある限りこの構造は保持されて潜在的に循環することを待っている、というわけだ。ここですべての教育主義=官僚主義者はふり落とされることになる。そして、この構造を支えるものは丸山の分析と違い上層でも下層でもない「中層」のメンバーである、となる。人文社会科学は理念を以って自らの存在理由を偽装するが、正しい知識に対する妄念や信仰であり、それが無いものを排除する官僚主義の自己正当化のドグマでしかなくなっているように思う。そして理系の人々もそのモラルはそうしたものに準じている。マスコミはドグマと社会の実際のギャップの隙間に乗じて騒ぎ立てているだけだ。加藤典洋だったか、吉本は「丸山真男論」が一番だと言う話があった。手法がすべて現れているともいう。大学知識人にたいする距離の置き方、日本の後進性の客体視等か。吉本は丸山の「現実的立場」は当時の共産圏=スターリン主義の枠組みを越ええず、「虚構の立場」は古典マルクス主義には不可能であった日本の政治体制と思想の実体構造を分析する原理的統一の道を開いたと評する。つまり「アジア的国家」の分析の問題を通じて柳田論へと繋がることになる。そういう意味ではこの文庫では順序が逆だろう。他方柳田国男は、始め苦手だったが後に一種の普遍的な学問の手法ではないかと評価が一変し、天皇制の根拠たるアフリカ的段階にまで覡野がとどいていたのではないかとしている。超資本主義の考察と同時期に、柳田を通じて人類の原型、歴史の原型を見てゆこうと言う視点も深まってゆく。ここには西欧近代官僚主義とアジア的封建主義遺制ともどもまず「理論=虚構の立場」的に乗り越えようとする吉本の苦闘が伝わってくる。

0コメント

  • 1000 / 1000