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2020年代の新総合商社論
本, 榎本 俊一
によって 榎本 俊一
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内容紹介 商社ビジネスのグローバル化がいかなる事業展開を招来するのか、国内顧客ニーズに最適化した経営・組織が商社ビジネスのグローバル化によりいかなる変化を遂げるのかを論ずる。 内容(「BOOK」データベースより) 2000年代、総合商社は、流通会社から、トレーディングと事業投資を柱とする総合事業会社に自己革新し躍進を続けたが、2010年代初の資源バブル崩壊に伴い転換点を迎えている。国内デフレ停滞の解消の目途が立たない中、総合商社が21世紀に成長企業たるには、国内中心型ビジネスから脱却しグローバル・サプライ・チェーン企業に生まれ変わらねばならない。この構造転換は総合商社に対し国際経営・組織の変革を迫り、人的資源管理も世界志向に変わらざるを得ない。日本的グローバル企業は真の世界企業に脱皮できるか。総合商社の未来を事例分析に基づき明らかにする。 商品の説明をすべて表示する
ファイル名 : 2020年代の新総合商社論.pdf
2020年代の新総合商社論を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。
なぜアマゾンは副題を省いているのだろう。「2020年代の新総合商社論」は「日本的グローバル企業はトランスナショナル化できるか」と一体となって、読者に内容を伝えている。著者は2012年に「総合商社論~Value Chain上の事業革新と世界企業化」を刊行しているが、これは総合商社の競争優位の源をサプライ・チェーン・マネジメント能力に求め、サプライ・チェーン・マネジメントにおいて①総合事業会社、②三菱商事のValue Chain Designと伊藤忠商事の点的支配、③トータル・リスク・マネジメントに支えられた事業ポートフォリオ管理などの事業革新を行うことで、総合商社は2000年代央以降Eecellent Companyに再生したことを、財務データ・事例に基づき解明している。著者が今回の著作で述べるように、その分析は依然妥当性・有効性を失っていない(三菱商事と伊藤忠商事を対等に扱い評価したのは著者が最初であり先見の明もあった)。では、著者はなぜ本著を書いたのか。現在、総合商社は2010年代の資源バブルの崩壊により三菱商事・三井物産が2015年度に社史初の赤字を巨額計上するなど事業成長性が疑われており、資源・非資源のバランス修正、フリー・キャッシュ・フロー確保等の短期的課題のみが論じられ、残念ながら総合商社は如何に21世紀の世界で成長企業たり続けるかが論じられていない。著者は三菱商事・三井物産の資源ポートフォリオを分析することで資源部門が大方の予想する2020年よりも早い段階で収益力を回復することを明確化にした上で、日本経済が長期デフレ停滞を脱却できない中で総合商社が21世紀も成長企業であるには、これまでの国内顧客を中心としたビジネスを本格的にグローバル化する必要があることを説得力を以て語る(著者は謙虚にも「総合商社自身が2000年代央に言っている」とするが)。これだけであれば、よくある分析であるが、著者の真骨頂は総合商社ビジネスのグローバル化が如何なるものかを、①サプライ・チェーンの構造変化(国内中心型サプライ・チェーンからグローバル・サプライ・チェーンへ)、②サプライ・チェーンの構造変化に対応したマネジメントの変化(誰がマネジメントの中心となるのか。従前の本国本社か、海外会社か。国内市場と異なり川下をコントロールできない海外市場では、三菱商事的なValue Chain Designは有効性を失い伊藤忠商事的な点的支配モデルに重点が移る等)を総合商社の既存事例(!)に基づき明確化している。その上で、著者は、総合商社ビジネスの脱国内中心・グローバル化に伴い総合商社はサプライ・チェーン・マネジメントの最適化のために国際経営組織・人的資源管理をどのように改革しなければならないかをケースに基づき分析・提言している。確かに、総合商社は日本初の多国籍企業であったが、そのビジネスは国内顧客を相手とする国内志向であった。いま自動車・総合電機等のグローバル企業に遅れること30年弱にして、国内中心型グローバル企業から「世界企業」化しようとしている。確かに、総合商社の社員はグローバル・ビジネス能力の高い強者揃いである。しかし、海外拠点が自律的・自主的にビジネスを開拓・運営しているか、海外現地人材をグローバルに活用できているかとなると、日本のグローバル企業の中でも「後発組」である。著者は多国籍企業論・国際人的資源管理論を踏まえつつ、常に事例に基づき具体的に総合商社の変革の方向性を分析し、21世紀の総合商社像を彫琢している。総合商社本はたくさんあるが、国際経営・国際人的資源管理の観点から論じられたのは本書が本邦初ではないか。それは「日本的グローバル企業はトランスナショナル化できるか」の副題に呼応しており、この著作の趣旨・内容はタイトル・副題を一体でないと曖昧になってしまう。私は本書は総合商社論として画期的であると考える。総合商社とは何か、総合商社はこれから如何なる企業となるかを知りたい、考えたいという方は、実務家、研究者、さらには学生を問わず、本書は座右の書とすべきだろう(著者は前著「総合商社論~Value Chain上の事業革新と世界企業化」に基づき本書で分析を展開しているが、内容は完全に独立したものであるから、両書を併せ持つことをお勧めする)。
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